A・ライオン生誕100年ブルーノート再発盤(10)・・・備忘録
これは’08.7.29にアップしたモノの要約です。
今日紹介するのはKENNY DORHAMです。アルバムは’ROUND ABOUT MIDNIGHT AT THE CAFE BOHEMIA(’56.5.31録音)です。
Ⅰ 1.MONACO 2.’ROUND ABOUT MIDNIGHT 3.MEXICO CITY
Ⅱ 1.A NIGHT IN TUNISIA 2.AUTUMN IN NEW YORK 3.HILL’S EDGE
メンバーはKENNY DORHAM(tp)、J.R.MONTEROSE(ts)、KENNY BURRELL(g)、BOBBY TIMMONS(p)、SAM JONES(b)、ARTHUR EDGEHILL(ds)です。
このセッションの全体的な印象から一つの興味ある事実が浮かび上がる。明らかにケニーはディジーやモンクの曲を借用する時にも自分で曲を書く時にも短調の曲を好んでいるらしい。
ただその結果はけっして単調に陥らないばかりかこのセッションに一つのまとまりを与え、ずっと以前からケニーの作品の重要な要素だったある憂愁の魅力を引き出している。
このアルバムはジャズ・メッセンジャーズを退団した彼が初めて持った自分のグループによるものです。
この録音はアルフレッド・ライオンがRVGただ一人を従えて「カフェ・ボヘミア」に乗り込み、その模様を捉えたものです。その背景にはRVGが当時、小型高性能の録音機を入手したと言う後世のジャズファンが改めて神に感謝したくなるような状況もあったのだそうだ。
さてこのグループ自体の作品としては本アルバムが2作目です。でこの直後に解散となる。
物静かなハード・バッパー、ケニー・ドーハムはまさしく等身大の巨人と言う感覚。誰からも文句なく親しまれる愛すべきトランペッターとしてのドーハムの存在を強くアピールすることにもなっているのだ。~ライナー・ノーツより
Ⅰ 1.MONACO はせつせつと訴えかけるようなスローなラテン・ビートで始まり、間もなく倍テンポになってケニーの個性を十分に発揮した長い流麗なソロを生み出す。
2.’ROUND ABOUT MIDNIGHT はスモール・コンボによるセロニアス・モンクのテーマの解釈の伝統的パターンを踏襲しており、ケニーとJ.Rがこの曲の哀愁に満ちたムードを深く掘り下げ、ボビー・ティモンズが繊細な16小節のソロを付け加える。
3.MEXICO CITY はバップの香りのする、はじけるようなアップ・テンポのマイナーのテーマで、総体にエキサイティングで粒揃いなこのセッションの中でも一番グルーヴィな曲と言えそうだ。
Ⅱ 1.A NIGHT IN TUNISIA はディジー・ガレスビーが書いた曲でモダン・ジャズのスタンダードである。オープニングのラテン・リズムから間もなくストレートな4/4に移行すると言う、標準的な処理が施されている。間奏部から飛び出して第2コーラスに突入する際のケニーの素晴らしいソロ・ブレイクは最大の思い出とライナーノーツ氏は語っている。
2.AUTUMN IN NEW YORK は彼としても最高に雄弁で趣味の良いバラード演奏である。
3.HILL’S EDGEはケニーがドラマーの名前をひっくり返して曲名にした。
ライナーのレナード・フェザーは相当このアルバムがお好きなようです。「失礼、ちょっと針を戻しますよ。もしあなたさえよければ、もう一度最初から聴きかえしたいので」と述べています。
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