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2010年11月 4日 (木)

MILES DAVISのアルバム(5)・・・備忘録

今日紹介するのはMILES SMILES(’66録音 CBS CBS/SONY ¥1、800.-)です。勿論再発です。

メンバーはMILES DAVIS(tp)、WAYNE SHORTER(ts)、HERBIE HANCOCK(p)、RON CARTER(b)、TONY WILLIAMS(ds)です。凄い顔ぶれです。

A 1.ODBITS 2.CIRCLE 3.FOOTPRINTS

B 1.DOLORES 2.FREEDOM JAZZ DANCE 3.GINGER BREAD BOY

マイルスは英語では、「ズ」と濁るのが正確だから「マイルズ・スマイルズ」は、一種のインをふんだ語呂になっている。このアルバムの前作「E・S・P」との間に1年9ヶ月のブランクがある。マイルス一党にしても2年間の研鑽の成果をこの一枚に込めただけあって’60年度に於ける代表的傑作となったわけである。

ODBITSはウエイン・ショーターのオリジナル。この曲でのハービー・ハンコックのピアの・ソロは異色的である。恐ろしく歯切れの良いタッチである。

CIRCLEはマイルスのオリジナル。マイルスのペットは一貫してミュート・プレイに終始し、明るい印象を後に残す。

FOOTPRINTSはショーターのオリジナル。トニーのドラム・ワークが自由奔放で圧巻である。

DOLORESもショーターのオリジナル。

FREEDOM JAZZ DANCEはエディ・ハリス作。原曲はファンキー臭に満ちたジャズ・ロックだがマイルスはこれを見事に自分自身の音楽に作り変えた。

GINGER BREAD BOYはジミー・ヒースのオリジナル。ジャズ・ロックに対するマイルス自身の解釈が読める、興味ある作品である。

このアルバムは’60年代の代表作と言うばかりでなく、次の時期へ踏み込むマイルスの方向付けを示している点(「エレクトリック」に転向する前の最後の作品のひとつであり、ロックの要素も取り込んでいる)で興味津々たる名盤である~ライナー・ノーツ。

元気の良いアルバムです。

次のアルバムは’ROUND ABOUT MIDNIGHT(’55~’56録音 ’83再発 CBS/SONY ¥2,300.- モノ)です。

メンバーはMILES DAVIS(tp)、JOHN COLTRANE(ts)、RED GARLAND(p)、PAUL CHAMBERS(b)、”PHILLY” JOE JONES(ds)です。

A 1.’ROUND MIDNIGHT 2.AH-LEU-CHA 3.ALL OF YOU

B 1.BYE BYE BLACKBIRD 2.TADD’S DELIGHT 3.DEAR OLD STOCKHOLM

マイルスは’55にニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演してほとんど一夜にして名声を確立した。

もちろんそれ以前から人気投票で上位に入賞したことはあったが、トランペットの首位を得たのも’55以来のことである。

当時CBSとプレスティッジとの間でのマイルス争奪戦は凄まじいものがあった。それがマラソン・レコーディングとなり、プレスティッジとの契約が終わるまでCBSからは発売しないと言う約束を逆手に取り、プレスティッジは4枚分のLPを1年に一枚づつ小出しにすると言う作戦に出た。

CBSの宣伝力でマイルス株の上昇気運を利用して大いに売ろうと言うわけである。一方CBSは「プレスティッジのお蔵・テープより新しいのだ」-と言うことを強調する為に2度とプレスティッジ時代のメンバーを使って録音はしなかった。

’ROUND MIDNIGHTはモンクの傑作。マイルスはたった一度のモンクとの共演で喧嘩して以来二度と共演していない。でも作曲家としてのモンクを高く買っていた。

AH-LEU-CHAはチャーリー・パーカーのリフ曲。最初と最後のアンサンブルは明らかにジェリー・マリガンの行き方に啓発されている。

ALL OF YOUはコール・ポーターの曲。多くのモダンジャズでは第一コーラスではテーマの提示と言うことで気を抜き加減になるがマイルスの場合、第一コーラスは既にインプロビゼーションなのだ。テーマ部分の最も印象的なフレーズは原曲にないものである。

BYE BYE BLACKBIRDは’20代のポップ曲。マイルスの手で見事にモダン・ジャズの世界に復活した。ALL OF YOUやこの曲はジャマルによって開眼されたマイルスの新境地であろう。

TADD’S DELIGHTはタッド・ダメロンの作。

DEAR OLD STOCKHOLMはスウェーデンの民謡。ポール・チェンバースのベース・ソロが大きくフィーチュアされる。これはモダン時代の「オール・アメリカン・リズム・セクション」である~ライナー・ノーツ。

’ROUND MIDNIGHT、マイルスのミュート・ソロが素晴らしい。コルトレーンのサックスも良く絡んで痺れますね。

AH-LEU-CHAは一転してジョーンズのドラムスが心地良い。サックスのブリブリ感良いですねー。チェンバースのベースも良くリズムを刻んでいてこの演奏は好きですね。

ALL OF YOUはペットとベースが良い雰囲気です。ここでもサックスは決まっています。主役はコルトレーンか。ピアノも良い音を叩き出している。一人一人が千両役者の登場を思わせる演出だ。

BYE BYE BLACKBIRD、ペットとサックス、ピアノの順にソロが続く。

TADD’S DELIGHT、ペット、サックス、ピアノの順にソロが出る。スピード感のある良い曲だ。

DEAR OLD STOCKHOLM、ライナーに書かれているようにベース・ソロが素晴らしい。

良いアルバムです。

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