A・ライオン生誕100年ブルーノート再発盤(18)・・・備忘録
これは’08.8.13にアップしたモノの要約です。
今日紹介するのはKENNY BURRELLです。アルバムはMIDNIGHT BLUE(’63.1.8録音)です。これはたまたま輸入盤のBST-84123と言う盤があるので聴き比べもしました。
メンバーはSTANLEY TURRENTINE(ts)、KENNY BURREL(g)、MAJOR HOLLEY JR(b)、BILL ENGLISH(ds)、RAY BARRETTO(co)です。
Ⅰ 1.CHITTLINS CON CARNE 2.MULE 3.SOUL LAMENT 4.MIDNIGHT BLUE
Ⅱ 1.WAVY GRAVY 2.GEE BABY AIN’T I GOOD TO YOU 3.SATURDAY NIGHT BLUES
ケニー・バレルのアルバムのタイトルは”ブルー”のついた作品が数多くある。中でもこの”ミッドナイト・ブルー”の印象は強烈だ。”BLUE”と言う文字がジャケットに最大級のスペースをとってデザインされている。
バレルほどブルーと言う言葉の似合うギタリストは他にはいない。この場合のブルーと言うのはもちろんブルースとブルース・フィーリングのブルーのことだ。
ブルース・フィーリングについてバレル本人に尋ねたことがあるが「私の生まれ育ったデトロイトはブルースが日常生活に溢れていた。別にミュージシャンでなくてもブルース・フィーリングが自然と身に付く街なんだよ」と。
更に洗練させ方のコツのようなものがあるかどうかを聞くと、彼は「フィーリングを洗練させることだねフィーリングを忘れてはいけない」と言っていた。これって万人が出来るものではないので矢張り才能ですよね。
そしてこんなことも言っていた。テクニックが幾ら身に付いてもフィーリングがなければジャズにはならない。矢張り双方のバランスがとれたミュージシャンがいいジャズをやれる、と。
バレルは’70年代からカリフォルニアの大学UCLAでジャズを教えている。当然「フィーリングを忘れるな」と授業で口酸っぱく言っているそうだ。
バレルはデビュー当時からエリントンのファンだったが、彼にとってはエリントンは生涯の研究課題のようだ。その思いが昂じてUCLAで「エリントニア」と言うデューク・エリントンを研究するコースを設けている。
そこで思い至るのが、バレルの洗練されたブルース・フィーリングはエリントンに影響を受けたのではないか、と言うことです。エリントン・サウンドに共通する洗練をバレルから聴き取れるからだ。
このアルバムはバレルの理想的なブルース・フィーリングが満喫出来るのが人気の理由だろう。
このアルバムのタイトル「MIDNIGHT BLUE」はオリジナル曲がたまたまタイトルになった訳ではなく、”MIDNIGHT BLUE”と言うフィーリングをアルバム全体で表現しているからだ。
この作品全体にタイトル通り、都会の真夜中のしじまに静かに響き渡るようなブルース・フィーリングが溢れている。そう、このアルバムはブルース・シティの深夜そのものなのだ~ライナー・ノーツ。
CHITTLINS CON CARNE はコンガがラテンのムードを決めている。そしてタレンタインが泣く、これぞまさしく”泣き”である。
MULEは美しい精巧さで始まる。
SOUL LAMENT はバレルのー個人的なー非常に個人的なーソロ・メッセージである。
MIDNIGHT BLUE はリズムセクションが加わっているが、ビートが非常にしっかりしてるので実際のテンポより速く感じられる。全編バレルだ。
WAVY GRAVY は緊張感を高めていくパターンを備えているから「ブルースの組み立て」と呼ばれている。
GEE BABY AIN’T I GOOD TO YOU は本アルバム中唯一のスタンダードである。原曲はバラードだが「けれども本質的にはやっぱりブルースなんだ」と。
SATURDAY NIGHT BLUESは気合の入ったブルースだ。この曲でセッションは激しく揺れる結末を迎える。
アルバム全体を見渡して全ての曲がある性質を確実に共有している。それはダウンホームなブルースのフィーリングと言う言葉で締め括るのが一番適切なのだ、とライナー・ノーツ。
しかし、このジャケットのデザインは秀逸ですね。45年も前に作られたアルバムとは思えません。
復刻盤:これ一枚を聴いている分には全く何も問題はない、素晴らしいアルバムです。
BST-84123:違いは正直分かりません、幾分音がシャープかな、と感じる程度です。
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