今日紹介するのは弘田三枝子です。アルバムは弘田三枝子’70 ポピュラー・ビッグ・ヒッツ!(’70)です。
バックは佐藤允彦とオール・スターズです。
Ⅰ
1.輝く星座
2.人形の家
3.ジョンとヨーコのバラード
4.ふたりのシーズン
5.ラヴ・ミー・トゥナイト
6.西暦2525年
Ⅱ
1.雨
2.愛の聖書
3.ゲット・バック
4.シッティング・オン・ザ・ドック・オブ・ベイ
5.ホンキー・トンク・ウイメン
6.グッドバイ
弘田三枝子について~いソノてルヲ談
1.彼女が輝かしい成果を収めつつあるのも歌手として抜群の資質を持っていたことで将来を注目された結果、いわゆる歌謡界次元でのヒットに恵まれなかった点も伏線としてあった。
2.彼女が極めて音楽に対して前向きの姿勢を保持していたこと。多くのポピュラー歌手がジャズが好きと言いながら支離滅裂になる傾向がある中、唯一ジャズ信奉の姿勢を変えなかった。
エピソードで言うならセロニアス・モンクの楽屋を訪ね、エラ・フィッツジェラルドの養女に乞われ、ついにはレイ・ブラウンのベース伴奏でスキャットを歌い、他人の真似の出来ぬ修行に励んだ彼女をしばしば垣間見ていた。
その中での成果としてニュー・ポート・ジャズ・フェスティバルに単身日本から初出場を体験。ビリー・テイラー・トリオの伴奏も一流ジャズ・ヴォーカリストとしての待遇です。
以後彼女の登龍が嚆矢となり原信夫とシャープス・エンド・フラッツあるいは渡辺貞夫と言った人たちがニュー・ポート・ジャズ・フェスティバル出演の夢を果たしたのでした。
その後彼女の音楽路線は黒人音楽の追及でした。いわゆるリズム・エンド・ブルースと言うカテゴリーの音楽です。
その後、美への追及で美しく変貌し眼を楽しませてくれたりもしましたがこのアルバムでは彼女の歌の実力をじっくり味わって頂きたい、と結んでいます。
なお伴奏の佐藤允彦は日本のジャズ界の新しきリーダーとして日本のジャズに新風を送りつつある名手です。このアルバムのミコの引き立て役としては最高の適任者と考えます。
輝く星座はヒフス・ディメンションの代表作
人形の家は彼女のオリジナルですが、ここではわざわざ英訳詩を歌っていますので外国のポップスのようにも聴こえる。
ジョンとヨーコのバラードはビートルズのモノが当然有名ですが彼女の歌いっぷりにも感心します。
ふたりのシーズンはゾムビーズのヒット曲。ミコの吐く息が伝わって来て一寸セクシーです。
ラヴ・ミー・トゥナイトはトム・ジョーンズのヒット曲。彼女は女性歌手のレパートリーよりも男性歌手のヒットを良く消化しています。実力がないと中々出来ないことです。
西暦2525年はゼーガーとエバンスのヒット曲です。
雨はジリオラ・チンクエッティのヒット曲。原曲よりややテンポを早くしたアレンジ。
愛の聖書を自作自演している歌手は男性ですがオーディオ的モノ・セックスの代表作として女性が歌っているような感じだそうです。彼女の解釈は女性的ですが原曲以上の魅力を感じさせます。
ゲット・バックはビートルズの曲。彼女は極めて格調高いロックとして歌い上げている。
シッティング・オン・ザ・ドック・オブ・ベイはオーティス・レディングのヒット曲。彼女は原曲の粘っこいフィーリングをさらりとしたものに変えて歌っています。しみじみした味わいです。
ホンキー・トンク・ウイメンはローリング・ストーンズのヒット曲。因みにホンキー・トンクとは居酒屋のことです。ここでは彼女の得意なシャウトが充分聴かれます。
グッドバイはメリー・ホプキンスのヒット曲。クローサーは別れの曲です~ライナー・ノーツ。
中々良いです。
↑にもあるように「人形の家」は英語で歌っていて面白い趣向です。・・・他にあるのかな??。
バックを固めている佐藤允彦とオール・スターズも中々良い演奏で弘田をサポートしています。
ふたりのシーズンはミコの吐く息が伝わって艶めかしくぞくぞくっとしますね。
雨は好きな曲で彼女の歌い方(アップテンポ)も中々良いです。
愛の聖書は知らない曲ですが彼女の歌はこのアルバムの中でも一番良い感じに仕上がっているように思います。不思議な世界を感じさせます。
ゲット・バックはスピード感あって良い歌いっぷりです。
シッティング・オン・ザ・ドック・オブ・ベイは昔良く聴きました。さらりと歌い上げて雰囲気が違ってこれまた良いですね。
大変良いアルバムです。
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