次のアルバムは’ROUND ABOUT MIDNIGHT(’55~’56録音 ’83再発 モノ)です。
メンバーはMILES DAVIS(tp)、JOHN COLTRANE(ts)、RED GARLAND(p)、PAUL CHAMBERS(b)、”PHILLY” JOE JONES(ds)です。
A
1.’ROUND MIDNIGHT
2.AH-LEU-CHA
3.ALL OF YOU
B
1.BYE BYE BLACKBIRD
2.TADD’S DELIGHT
3.DEAR OLD STOCKHOLM
マイルスは’55にニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演してほとんど一夜にして名声を確立した。
もちろんそれ以前から人気投票で上位に入賞したことはあったが、トランペットの首位を得たのも’55以来のことである。
当時CBSとプレスティッジとの間でのマイルス争奪戦は凄まじいものがあった。
それがマラソン・レコーディングとなり、プレスティッジとの契約が終わるまでCBSからは発売しないと言う約束を逆手に取り、プレスティッジは4枚分のLPを1年に一枚づつ小出しにすると言う作戦に出た。
CBSの宣伝力でマイルス株の上昇気運を利用して大いに売ろうと言うわけである。
一方CBSは「プレスティッジのお蔵・テープより新しいのだ」-と言うことを強調する為に2度とプレスティッジ時代のメンバーを使って録音はしなかった。
’ROUND MIDNIGHTはモンクの傑作。
マイルスはたった一度のモンクとの共演で喧嘩して以来二度と共演していない。
でも作曲家としてのモンクを高く買っていた。
AH-LEU-CHAはチャーリー・パーカーのリフ曲。
最初と最後のアンサンブルは明らかにジェリー・マリガンの行き方に啓発されている。
ALL OF YOUはコール・ポーターの曲。
多くのモダンジャズでは第一コーラスではテーマの提示と言うことで気を抜き加減になるがマイルスの場合、第一コーラスは既にインプロビゼーションなのだ。
テーマ部分の最も印象的なフレーズは原曲にないものである。
BYE BYE BLACKBIRDは’20代のポップ曲。
マイルスの手で見事にモダン・ジャズの世界に復活した。
ALL OF YOUやこの曲はジャマルによって開眼されたマイルスの新境地であろう。
TADD’S DELIGHTはタッド・ダメロンの作。
DEAR OLD STOCKHOLMはスウェーデンの民謡。
ポール・チェンバースのベース・ソロが大きくフィーチュアされる。
これはモダン時代の「オール・アメリカン・リズム・セクション」である~ライナー・ノーツ。
’ROUND MIDNIGHT、マイルスのミュート・ソロが素晴らしい。
コルトレーンのサックスも良く絡んで痺れますね。
AH-LEU-CHAは一転してジョーンズのドラムスが心地良い。
サックスのブリブリ感良いですねー。
チェンバースのベースも良くリズムを刻んでいてこの演奏は好きですね。
ALL OF YOUはペットとベースが良い雰囲気です。
ここでもサックスは決まっています。主役はコルトレーンか。
ピアノも良い音を叩き出している。
一人一人が千両役者の登場を思わせる演出だ。
BYE BYE BLACKBIRD、ペットとサックス、ピアノの順にソロが続く。
TADD’S DELIGHT、ペット、サックス、ピアノの順にソロが出る。スピード感のある良い曲だ。
DEAR OLD STOCKHOLM、ライナーに書かれているようにベース・ソロが素晴らしい。
良いアルバムです。
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