今日紹介するのはLEONARD COHENです。アルバムはTHANKS FOR THE DANCE (’19)です。
レナードは生きている!
レナード・コーエンの新作アルバム『サンクス・フォー・ザ・ダンス』(アナログ盤)
新作の『サンクス・フォー・ザ・ダンス』はB面曲やアウトテイクを収録した記念品的コレクションではなく、エキサイティングで活力に溢れた新曲を収録した予期せぬ収穫であり、稀有なるアーティスト、レナード・コーエンの最終作品の継続ともいえるものだ。
彼は2016年に亡くなったものの、その作品においてはまだまだ健在であるのを実感できる。
父親の死後7ヶ月、アダム・コーエンはレナードの家から通りを行ったところにある自宅裏庭の改装されたガレージにこもり、ふたたび父親と向き合って仕事をし、その声とずっと一緒にいた。
親子のかつてのコラボレーションである2016年作『ユー・ウォント・イット・ダーカー』から残っていた荒削りな音のスケッチ、ときとしてたんなる声にすぎないようなものがあって、レナードは息子にこうした断片的な仕事を完成させるよう頼んでいたのだ。
この傑出した新作はさまざまな場所で作られている。
偉大なスパニッシュ・ラウードの奏者で過去8年間のツアーでレナードのステージに同行したハビエル・マスは、バルセロナからロサンジェルスに飛んで、レナード自身のギターで彼の魂を捉えた。
ベルリンではピープル・フェスティバルという音楽イベントにアダムが友人や仲間を招き、その耳や才能を貸してもらった。
ダミアン・ライスとレスリー・ファイストが歌い、アーケイド・ファイアのリチャード・リード・パリーがベースを弾いた。
ザ・ナショナルのブライス・デスナーがギターを弾き、作曲家のダスティン・オハロランがピアノを弾いた。
ベルリンに拠点を置く合唱隊、カンタス・ドムスが歌い、スターゲイズ・オーケストラが演奏した。モントリオールでは有名なプロデューサーのダニエル・ラノワが参加し、簡素なアレンジを美しく豊かなものに仕上げた。
前作のサウンドで重要な役割を担ったシャール・ハショメイム合唱団が1曲に参加、さらにパトリック・ワトソンが共同プロデューサーとして比類ない才能を1曲で披露している。
ロサンジェルスに戻って、レナードの情熱の守り人であるジェニファー・ウォーンズがバックボーカルを歌い、ベックがギターと口琴で参加した。
『ユー・ウォント・イット・ダーカー』を見事にレコーディングしミックスしたマイケル・チャベスが、エンジニアリングとミキシングを手がけている。
そうして生まれた『サンクス・フォー・ザ・ダンス』は、レナード・コーエンのサウンドの本質を強烈なまでに思い起こさせる彼の最新アルバムだ。
「彼の言葉につける音楽を作曲・アレンジする中で、私たちは彼のもっとも独特な音楽的特徴を選びました。
ずっと彼と一緒にいられるように」とアダム・コーエンは言う「新作でもっとも感動させられるのは、聞いた人のビックリしたような反応です。『レナードは生きている!』とひとりひとり、誰もが言うんです」。
『サンクス・フォー・ザ・ダンス』は思いがけない祝福そのもの、美と力の賜物そのものだ。
レナード・コーエンの声は静められてはいない。その踊るような躍動は今なお続いている。
A
1.HAPPENS TO THE HEART
2.MOVING ON
3.THE NIGHT OF SANTIAGO
4.THANKS FOR THE DANCE
B
5.IT’S TORN
6.THE GOAL
7.PUPPETS
8.THE HILLS
9.LISTEN TO THE HUMMINGBIRD
このアルバムは彼の死後、息子さんが父親(精神面)と向き合い、昔からの父親との仲間達と協力の元に製作に漕ぎつけたモノです。
このアルバムを聴くとまさに『レナードは生きている!』と思わざるを得ません。
それ程に素晴らしい仕上げとなっています。
私も聴く迄はここまでの完成度だとは露程も思っていませんでした。
聴く機会がある人は是非お聴きになって見て下さい。
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