2040年の未来予測(’21年発売)・・・成毛眞著(元日本マイクロソフト社長(その3)
#03 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける
[衣食住の未来は、短期的にコロコロ変わる]
明治時代との最大の違いは、環境問題である。
日本の地価は50年後には下落している可能性は高いが、果たして2030年はどうだろう。
[不測の未来を予測する力ををつけよう]
現在の知識を使って未来の方向を推測する力は、どんな不測の事態が起こっても対応できる力をつけるだろう。
[国が発展すると、肉を食べる]
しかし培養肉は確実に未来に大きな利益を生む。
[遺伝子編集した魚を食べないともうもたない]
2040年には世界の肉の60%が、動物本来の肉ではなく、培養肉や植物からつくられた人工肉に代わる。
[マンションの価値は下がる]
つまり、まともに修繕できるマンションは4件に1件しかないのが現実だ。
[オンライン教育はあたりまえになる]
[アメリカの大学は富裕層以外はいけない]
教育の大切さを煽ることで大学進学率が高まり、皆、値上げをしても借金をしてでも入学するからだ。
アメリカでの大学進学は、富裕層以外ではすでにギャンブルだ。
[日本では学歴の意味がなくなる]
日本では、これから2040年に向けて、学歴の価値は下がっていく。
バブル崩壊の処理に追われている間に、世界から日本が取り残された現実は覚えていた方がいいだろう。
就職に学歴が関係なくなるのだから、これからは、親も子供に、それぞれが好きなことを見つけて、好きな仕事や自分の人生を創造する後押しをしてあげるべきだ。
[大学は生き残るために専門性を高める]
企業は以前とは比べられないほど競争のスピードが速くなっており、優秀な実務能力がある人材が欲しい。
[シェアリングは巨大産業になる]
シェアリングエコノミーの市場規模は、2018年度の1兆8874億円から2030年度に11兆1275億円にまで広がる可能性もある。
もちろん、これはサービスの認知が進んだり、法整備や自治体の支援が整ったりなど、業界にとっての追い風が吹いたらという条件付きではある。
[貧しくなる日本にシェアリングは不可欠]
日本は、経済大国から2番手グループに落ちるのは略規定路線だ。
[アフリカの「ストーリー」がファッションの目玉に]
早ければ、アフリカは2040年に「世界の工場」になっている。
現在、中国でつくられている衣服は人件費の高騰で東南アジア、アフリカへと生産地が変わっていくはずだ。
ラグジュアリ-ブランドにとっても次の上級顧客はアフリカ系であり、そのための布石を打ち始めているのである。
というのも、現在から未来に向けて経済界、産業界のテーマは「持続可能性」だろう。
アフリカがファッションの世界で、存在感を増すのは間違いない。
#04 天災は必ず起こる
[このまま温暖化がすすむと、飢餓に満ちた世界が必ずくる]
このまま何の対策も講じなければ、今から2100年までに地球の平均気温は4度上昇する。
これがどの位異常なことかというと、1880年から2012年までの世界の平均気温の上昇は、1度にも満たない。
生態系に空白地帯が生まれてくると小型生物が大型化する。
ネズミがウサギくらいのサイズになってもおかしくない。
2030年頃には、海面が少なくとも15センチは上昇するとの試算もある。
ちなみに最悪の場合、2100年には日本は熱帯化している。
サンゴ礁には海洋生物の3割以上が生息するといわれており、結果的に、数億人の人々の食糧事情が深刻なものになる。
米はとれなくなり、関東や近畿圏でバナナやパイナップルが栽培に適しているようになるだろう。
アフリカでは、トウモロコシやキビなどがとれる耕作地がは半減する可能性もある。
[まず自分のいる場所がどんな水域か知っておくべき]
首都圏や地方に関係なく、誰もが水害の当事者になりうることを実感したのではないだろうか。
[天災に関しては、自分できちんと判断するしかない]
日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じているのに、本来、水害の危険で田畑にもならなかったような場所に住む人は増え続けているのだ。
危険なエリアには高齢者福祉施設が多く建つ。
特に、地震に比べると台風は逃げる時間には余裕がある。
危ないと思ったら一目散に逃げるべきである。
[自治体のハザードマップを必ず見る]
江戸川区は東に江戸川、西に荒川という大河川が流れ、南は東京湾に面している。
つまり、関東地方に降った雨の大半が集まる。
そして、陸地の約7割が満潮時の水面より低い海ゼロメートル地帯だ。
東京都内でも最も水害が起こりやすい地域だ。
将来の気象状況がどのように変化するのか予見するのも困難だけに、これからは「自分の身は自分で守る」という意識を誰もが頭の片隅に持つべきだろう。
[南海トラフ地震の際は、日本中で地震が連動して起こる可能性が高い]
地震発生から20年間の経済損失は、首都直下型で778兆円、南海トラフで1410兆円になると推定している。
建物の被害だけだとそれぞれ47兆円と170兆円だが、交通インフラが寸断されて工場が長期間止まる影響など、間接的な影響が重くのしかかる。
国の年間予算が100兆円だ。
いかに巨大なリスクかが分かるだろうか。
どちらの地震による被害も「国難」級だと指摘している。
[富士山が噴火すると日本中の機能がストップする]
[温暖化によって戦争が起きる]
戦争の理由は、基本的には資源と富の収奪だ。
南半球で生産され、北半球で売られるものを「南北商品」といい、これらは彼らの生活を支えるが、温暖化によりすでに難しくなっているものもある。
南北商品の代表例はコーヒーだ。
コーヒー生産の6割弱を占める「アラビカ種」の生産に適した土地が、温暖化により2050年に半減する危険性があるという。
インドから中東の都市では、夏の外出が命がけになる。
[「水」が最も希少な資源になる]
ちなみに、深刻な、水不足に陥る地域はパキスタンやインド、中国だ。
いずれも核保有国だ。
あなたのあらゆる経済活動や消費活動が温暖化の原因になっており、それが将来のもめごとのきっかけになりかねないことを私たちは自覚すべきかもしれない。
[終わりに]
最後にひとついっておこう。
そこまで悲観する必要はない。
いつの時代も高齢者は将来を悲観し、若者は未来を楽観するからだ。
つまり、65歳の私が本書でいうことを、すべて真正面から受け止める必要はない。
問題は話半分でも、日本の未来は明るくないということだ。
国を忘れて、これからの時代をどうやって生き残るのかをまず考えるべきだ。
どうすれば幸せな人生を送れるかに全エネルギー注ぐのをおススメする。
生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している。
最悪の事態が想定できていれば、右往左往することはない。
そのシミュレーションができていれば、あなた個人に待ち受ける未来は、何も知らずにいたときの景色とは違っているはずだ。
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近未来を展望したこの本は面白くて示唆に富んでいるので一気に読み進めることが出来ました。
私自身76歳ですがもっと若い人たちにも読んで頂きこれからの人生に役立てて頂きたいと思いました。
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